朝、誰よりも早く目が覚めた。
窓の外はまだ薄暗く、カーテンの隙間から見える空も、グレーと水色が混ざったようなぼんやりとした色をしている。
この時間は、なぜか音がしない。外も、家の中も、しんと静まりかえっている。
「せっかく早起きしたし、朝ごはん…ちょっといいもの作ってみようかな」
■ 早起きの楽しみは、秘密のキッチンタイム
家族がまだ寝ている間、そっとキッチンに立つ。
いつもは「手軽」「時短」が合言葉の我が家の朝食だけど、今日は違う。
冷蔵庫を開けて目に入ったのは、缶詰のシーチキン。
「今日は、これをぜいたくに丸ごと使っちゃおう」
こんな朝ぐらい、いいよね?と、自分に言い訳しながら、
パンを取り出し、トースターを温め、ホットサンドメーカーを準備。
■ 豪華といっても、“シーチキン1缶”の贅沢
シーチキンは、マヨネーズとほんの少しの黒胡椒で和える。
余計な味付けはしない。素材のうまみで勝負だ。
そこに薄切りの玉ねぎと、冷蔵庫に残っていたスライスチーズをプラス。
サンドイッチ用の食パンに具をたっぷりのせて、ホットサンドメーカーでぎゅっと挟む。
「ジュッ…」という音とともに、少しずつ立ち上がる湯気。
焼けていくパンの香ばしさと、ツナの香りが混ざる瞬間が、なんとも幸せ。
■ ひと口目で「あ、これは勝ったな」と思った
ちょっと焦げ目がついたパンをカットして、庭に出る
マグカップにインスタントのコーヒー。
高級じゃない。でも、最高の朝ごはん。
サンドをかじった瞬間、シーチキンのジューシーさがジュワッと広がる。
チーズと玉ねぎが、いい仕事してる。
そして、思うのだ。
「…うん、これは勝ったな」って。
■ 家族が起きてくる前の“ひとりの贅沢”
もちろん、このサンドは自分だけのもの。
家族には内緒。というか、あえて作らない。
「早起きした人の特権」なんて、ちょっと意地悪かもしれないけど──
こういう“小さなご褒美”って、日々の気分を整える大事なスパイスになる。
■ まとめ:早起きは、静けさとご褒美をくれる
たまにしかない、誰もいない朝のキッチン。
特別な材料じゃなくても、心が満たされる朝食は作れる。
しかも、それが「缶詰ひとつ」でできるという事実に、なんだか元気が出る。
今日もきっと、いろんなことがある。
でも、このホットサンドがうまく焼けたから、大丈夫。
そんな気持ちで、今日もスタートしてみよう