朝、目覚めたときに雨の音がしていると、不思議と心が落ち着く。
濡れた地面、しっとりとした空気、雨粒が軒先を叩く音。
本来なら「出かけるのが億劫だな」と思うところなのかもしれないけれど、僕にとっては“整えるスイッチ”が入る時間でもある。
朝のコーヒーは、呼吸を整える儀式
毎朝の習慣として、まずコーヒーを淹れる。
キッチンに立って、お湯を沸かし、ドリッパーに豆をセット。
「今日はちょっと深煎りのほうがいいかな」と考えながら、お湯を少しずつ注いでいく。
じわじわと膨らむコーヒードームを見ながら、心拍が落ち着いていくのがわかる。
忙しい毎日のなかで、自分の呼吸を意識する瞬間って意外と少ない。
でもこの朝のコーヒー時間だけは、頭の中も、体の中も、きちんと“自分に戻っていく”ような気がする。
できあがったコーヒーを、お気に入りのマグに注ぎ、そっと庭に出る。
雨上がりの庭で、静かな時間を味わう
雨が止んだばかりの庭は、すべてが少し濡れていて、空気が澄んでいる。
植物の葉には水滴が残り、風が吹くたびにしずくがポタリと落ちる。
そんな景色をぼんやりと眺めながら、コーヒーをひと口。
それだけで、気持ちがすっと軽くなる。
椅子に座って、読みかけの文庫本を手に取り、ページをめくる。
物語の世界に入り込んでいくうちに、目の前の雨音や、鳥の声、風の匂いが自然と背景になる。
静かな庭で過ごすこの朝の時間は、どこか“日常と非日常の間”にいるような感覚。
特別なことは何もしていないのに、満たされる。そんな贅沢な余白。
それでも時間がない朝は、通勤途中の“缶コーヒー時間”
もちろん、毎日ゆっくりと庭で本を開く時間があるわけじゃない。
それでも、どんなにバタバタした朝でも、僕はコーヒーだけは欠かさない。
もっと言えば、時間がない日ほど「コーヒーを飲むこと」に救われている。
少し余裕があるときは、通勤途中にある小さな公園に立ち寄る。
コンビニで缶コーヒーを買って、ベンチに腰かける。
ほんの5分。いや、2分でもいい。
行き交う人の足音や、ざわざわした車の音の中で、缶コーヒーのあたたかさだけが、自分の世界に戻してくれる気がする。
雨の日に感じる「リセット」の力
雨の日って、予定が崩れることも多いし、テンションも下がりがち。
でも、だからこそ「立ち止まる」きっかけをくれる。
コーヒーを淹れる時間
雨の音に耳をすます時間
誰にも話しかけられずに本を読む時間
それらが、自分の内側をちょっとだけ整えてくれる。
SNSやニュースに飲まれそうになる日々の中で、「ただ自分でいるだけの時間」を持てるって、すごく大事なことなんじゃないかと思う。
おわりに:どこにいても、自分と向き合える時間はつくれる
雨の日も、慌ただしい朝も、コーヒーがあれば整えられる。
庭でも、公園でも、たとえ職場のデスクの片隅でも──
ほんの数分でいい。「自分のための時間」は、自分でつくれる。
お気に入りのマグ
よく聞くプレイリスト
読みかけの本
そして、コーヒー